カセットテープの歴史について(前編)

カセットテープの歴史について

そもそもカセットテープとはなに?

【カセットテープとはなにか?】 カセットテープとは、磁気で情報を記憶させたテープを用いて、音声や映像を記録したり、再生したりするメディアのことです。薄いテープはプラスチック製のカセットに収納されていて、上部にテープが露出しています。その露出した部分をカセットテープレコーダーやプレーヤーが読み取る仕組みとなっています。

 

 

テープを読み取るにはテープを回転させる必要がありますので、カセットの中央部には2つの穴が開いていて、引っ掛かりがある軸が設けられています。この軸にカセットプレーヤーの回転軸が対応して、スピードを合わせてテープを送っていきます。これが基本的な構造です。

 

カセットテープとは言っても、いくつかの種類があります。一般的に言われるカセットテープとは音声を録音・再生するためだけのもので、小型サイズです。テープの種類によって、DATと略されることも多いデジタルオーディオテープや、小型のミニカセットなども存在しました。

 

他にもビデオ、つまり映像用のカセットテープもあります。いわゆるビデオテープと呼ばれるものです。一般的なカセットテープとはサイズの違いがあるものの、基本的に同じ仕組みです。このビデオテープにはVHSやベータマックなど、仕様の違いがあります。さらに、見た目は多少異なりますが、原理は同じものに、8ミリビデオテープもあります。

 

このように、記憶方式やサイズなどが異なる、様々な種類のカセットテープが存在していて、家庭用・業務用取り混ぜて、多くの用途で使用されていました。

 

【カセットテープの再生機器】
カセットテープに音声を録音したり、再生したりするには、専用の機器が必要となります。上記のようにテープを送り出す構造と、テープのデータを読み取る仕組みが一体となった機器です。それほど複雑な機能ではありませんので、比較的小型の機器が家庭用として販売されることが多く、中には手のひらサイズのプレーヤーも登場しました。

 

また、車のオーディオ機器の一つとしてカセットプレーヤーが採用されていた時代もあり、多くの車にラジオとカセットプレーヤーが搭載されていました。時代と共に、CDそしてMP3のようなデジタル音源に取って代わり、カセットテープが利用されることはほとんどなくなってしまいました。

 

しかし、昔の音源など、今でも家庭でカセットで持っている人も多くいます。テープは劣化、腐食してしまいますので、大事な音源を保存したいのであれば、デジタル化するのが一番です。カセットテープデジタル化は、大量のテープも簡単にまとめられて便利な方法なのです。

カセットテープとは?その歴史を解説

【カセットテープとはいつから始まったのか?】

 

カセットテープとは、磁気データを記録したテープを読み取ることによって再生するものです。このテープを使った録音という構造自体はかなり古くからあり、1928年にドイツのフリッツ・フロイメルが原型を発明しています。その後、1935年にはオープンリール形式で録音・再生機器が作られました。これはテープが外にむき出しになった形の機器で、かなり大型のものです。1950年代には、このオープンリールタイプの機器が録音では非常に多用されます。

 

しかし、カセットテープとは異なり、オープンリールだと持ち運びが難しく、テープが人や物に接触しやすいのでトラブルが発生しやすいなどの難点を抱えていました。そこで、1962年にオランダのフィリップス社が、現在まで続くカセットテープの形となる規格を作りました。プラスチックの小型のケースの中にテープを入れることで持ち運びがしやすく、一般家庭でも簡単に使えるようにしたのです。フィリップス社は特許権や製造権などを独占することなく、世界中に無償提供します。これにより、日本も含めて世界中の企業がカセットテープ製造に取り組むようになり、爆発的に普及が進んだのです。

 

【日本におけるカセットテープの歴史】
上記のフィリップス社の規格を用いて、日立マクセル社が初めての国産商品である「C-60」を販売したのが日本での始まりです。その後、カセットテープを再生・録音する機器の開発も進んでいきます。アイワは世界で初めて、ラジオとカセット機能が一体となった「TPR‐101」を発売します。

 

さらに、一般的なカセットテープとは異なる、より音質にこだわった音楽専用の商品も開発されました。TDKが1969年に「SD」というシリーズを始め、これがヒット商品として長く続くことになります。録音品質を高める動きは加速して、クロームテープと呼ばれる、より録音精度を高めたテープが作られるようになります。

 

もう一つ重要なのは、機器の進歩です。この分野で、日本は世界の中でもかなりの影響力を持つようになります。特に、1979年にはソニーが、小型でポケットに入る携帯型のプレーヤー「ウォークマン」を販売し、これが世界中に大きな衝撃を与えました。それまでのカセットテープとは違う使い方により、新たな時代を作り上げることになります。
このように、世界でも日本でも輝かしい歴史を持つカセットテープですが、現在はテープの生産をする会社が激減しています。

カセットテープとはどのように使ったらいいの?

【カセットテープとはどのようにして聴くのか?】

 

今の時代の音楽再生方法の主流と言えば、スマホで音楽アプリを開いて、タップするだけです。そんな中で、カセットテープを使って音楽を聴きたいという人も多くいます。独特の音の良さがあって、スマホで聴くのとは違う魅力があるからです。また、家にカセットテープのコレクションがあって、どんな音源が入っているのか、気になるという人もいるでしょう。

 

見れば分かりますが、カセットテープとはプラスチックのケースの中にテープが入っていて、そのテープの磁気情報を読み取ることで再生するものです。そのため、専用の機器が必要となります。ラジカセとかウォークマンと呼ばれる機器が一般的で、テープを回転させて情報を読み取り、音に変換します。

 

使い方自体は簡単です。ラジカセの扉を開けて、カセットを入れます。この際、カセットの上下がありますので、扉を閉めてうまく閉まらないようなら、上下を変えて入れます。また、カセットにはA面とB面があります。裏表を替えることで、違う曲のリストが流れるわけです。

 

カセットを正しく入れることができたら、ラジカセにある再生ボタンを押します。止める時は、一時停止か停止ボタンを押します。曲を早送りしたい時は早送りボタンを、巻き戻す時には巻き戻しボタンを押します。どちらも自動で曲の頭出しはしてくれないことが多いので、適当なところで停止ボタンを押して、止めてから再生する必要があります。再生が終わったら、取り出しボタンを押して、カセットを取り出します。

 

【ちょっと変わったカセットテープの使い方】
上記のようなカセットテープとは違った使い方もあります。ラジカセの機能にもよりますが、再生速度を変えられるのです。再生速度を変えると、音が変化します。速度を遅くすると音質が非常に低くなり、逆に速く再生すると高い音質になります。カセットテープとは違い、今のデジタルデバイスではたいてい自動補正されるので、音質が変わることがありません。こうした変化を楽しむのも、カセットテープの魅力の一つと言えるでしょう。

 

逆再生という、通常のカセットテープとは違う使い方もあります。これもすべてのラジカセでできるわけではなく、その機能の付いている機器だけが可能ですが、通常の回転とは逆にテープを送り出して、逆向きに再生するのです。当然、よく分からない音声となることが多いですが、逆再生しても立派な音楽になっていることもあります。

カセットテープとはどんなメカニズムで録音・再生できる媒体なの?

【カセットテープとはどんな仕組みのメディアなのか?】

 

カセットテープとはシンプルな構造で、プラスチックの薄い箱型のカセットの中にテープが入っているという仕組みです。カセットテープが鳴るのは、このテープに情報が記憶されていて、それをラジカセで読み取って音に変換しているからです。

 

このテープでは、磁石のN極とS極の違いを利用しています。つまり、テープの表面には非常に細かく、S極とN極の2つの信号が記録されているわけです。

 

テープには磁性体と呼ばれる、粉状の磁石のようなものが塗りつけられています。磁性体に電気信号を与えることにより(具体的に言うと、録音装置の電磁石の信号をN極とS極に変化させながら近づけることで)、それぞれの部分がS極とN極に変化します。こうして、テープ状にはSとNが無数に印字されたかのような状態となります。

 

今度は、それをラジカセで読み取ります。再生用のヘッドが、テープに記録されているN極とS極を読み取って、それを電気信号として認識します。その電気信号を音声に変換することで、音楽や人の話などを再生できるわけです。

 

このように、1と0のデジタル信号に記録されて再生される、CDやDVDなどと大きくは変わらない仕組みです。カセットテープとは、現代利用されている録音・再生技術の大元となる媒体と言えるでしょう。

 

【カセットテープにはA面とB面がある】
カセットテープの大きな特徴の一つは、A面とB面があり、裏表をひっくり返して入れることで、違う曲を再生することができるという点です。実は、カセットテープとは2分割されたテープで作られているので、こうしたことができるのです。

 

つまり、大雑把に言うと、テープは半分で分割されていて、片方にはA面のデータ、もう片方にはB面用のデータが記録できるようになっています。さらに言うと、カセットテープとは本来、右と左の両方から音が出るステレオタイプですので、テープはA面とB面のそれぞれで、さらに2分割されています。つまり、全体では4つの区分に分割されていて、それぞれに異なるデータが入っているのです。

 

カセットテープとは、精密な技術によって支えられている媒体だということが分かります。しかし、保存を物理的なテープに頼っているため、どうしても経年劣化や破損などのリスクがあります。

カセットテープとは?種類別の違いを解説

【カセットテープとは磁気テープが基本】

 

カセットテープとは、テープに磁気情報を記憶させることで、その磁気情報を電気信号に変え、音声とする装置です。音源を録音したり再生したりする根幹を成すのはこの磁気テープですので、磁気テープの特性や品質によって録音性能は変わってきます。こうした違いで、カセットテープにはいくつかの種類があります。

 

「ノーマルポジション」とは、一般的なタイプのカセットテープです。

 

普通のカセットテープとは質の面で異なるのが「ハイポジション」です。略して、「ハイポジ」と呼ばれることもあります。このタイプは表面のコーティングに二酸化クロムという物質を用いて、より精度の高い磁性コントロールができるようになっています。そのため、「クロムテープ」と称されることもあります。ノーマルよりも音質が良いので、音楽専用テープとして利用されることが多いです。

 

「フェリクローム」というタイプも存在します。これは、ノーマルとハイポジの中間的な位置付けで、価格がそれなりに安く、品質も良いのが特徴です。

 

「メタル」と呼ばれるタイプは、テープに特殊加工を施すことによって、より精度の高い磁性コントロールができます。音質がとても優れており、音楽にこだわる方が好んで利用します。ただし、価格はかなり高く、ノーマルポジションのカセットテープとは4倍近い差が出る商品もありました。

 

【TYPEという分類方法】
こうした「ノーマル」「ハイポジ」などの分け方の他に、TYPEという表示で分類している商品もありました。基本的には前述の分類と同じものです。TYPEⅠがノーマルポジションに相当し、TYPEⅡがハイポジション、TYPEⅣがメタルテープになります。数字が高くなるほど品質も高くなるという見方をすれば、分かりやすいでしょう。

 

これらのカセットテープの分類は品質によって分けられているのですが、グレードの高い商品を使えばそれだけで音質の良い音楽が聴けるというわけではありません。カセットテープだけ良くても、プレーヤーが対応していないと意味がないからです。つまり、メタルテープを聴くのであれば、メタルテープ対応のデッキで再生しないと、高音質を実現することはできません。こうしたハイグレードのデッキは、通常のカセットテープとは異なる精度で信号変換ができるようになっています。